神々の山嶺
「落ちこぼれてエベレスト」(野口健)を経て、ようやく「神々の山嶺」(夢枕獏)を読んだ。こんなに長い作品は「プラハの春」、「赤と黒」につづいて3作目くらいだろうか。さすがは山岳小説だけあって、胸騒ぎしたさ。ただ中間点の自分の集中力もいったん切れそうなところで、ウダウダ感がなんとも言えずにウダウダ。読み慣れない私にとっての関門。それでもそこをクリアして読み続けたのは、やはりその先に山があったからだろうか。
なんにせよ、「山しかない」。
結局行き着く先はそこか。
山はそこにある。逃げはしない。どこにも行きはしない。
何もない人間にとってそこは聖地なのか。
落ちこぼれてエベレスト・・・
いや、何もなかったわけではあるまい。
結局は「もっている」者にしかそこに辿り着く権利はないのだから。
「いつか自分も」という思いまでにも達しないのが残念だが、
「全くない」とまでも言い切れないような気がしてきた。
さて、次は「孤高の人」へと進みますか。